「辞めたい気持ちはある。でも、どうやって辞めればいいのかわからない」
これ、警察官に特有の悩みです。
民間企業なら「退職届を出して2週間で辞められる」というのが一般的です。
でも警察は違います。提出先・書き方・タイミング・引き止め——全部が民間と異なります。
私も辞めると決めてから実際に退職するまで、手続きの進め方がわからず一人で抱え込みました。
この記事では、退職を言い出す前の心構えから退職日当日まで、全ステップを体験談とともに解説します。
・警察官が退職を言い出す前にやっておくべき準備
・退職届の書き方と提出先(民間との違い)
・「辞めると言い出せない」を乗り越えた方法
・引き止めにあったときの対処法(私の実体験あり)
・退職日当日までのスケジュールと注意点
・損しない退職タイミングの逆算方法
第1章:退職を言い出す前にやっておくべき3つの準備
「辞めます」と伝える前に、必ず済ませておくべきことがあります。
この順番を守るかどうかで、退職後の人生の質が大きく変わります。
準備① 転職先を決めてから辞める
これが最重要です。「辞めてから転職活動する」は絶対に避けてください。
理由は2つあります。
1つ目は経済的なリスク。警察を辞めると公務員としての身分を失います。
収入が途絶えた状態で転職活動をすると、焦りから妥協した転職先を選んでしまいます。
2つ目は精神的なリスク。「早く決めなければ」という焦りが判断力を狂わせます。
在職中に余裕を持って転職活動できる状態の方が、自分に合った職場を選べます。
「激務の中でどうやって転職活動するの?」という疑問はもっともです。
在職中に誰にも知られずに転職活動を進める方法は、こちらに詳しく書いています。
準備② 退職のタイミングを逆算する
退職日を何となく決めると、ボーナスを丸ごと損することがあります。
私は3月末退職を選んで夏ボーナス約40万円を受け取れませんでした。
退職日を決める前に、必ずボーナス支給日を確認してください。
詳しい逆算方法はこちらにまとめています。
→ 警察官を辞めるタイミングはいつ?月別早見表と40万円損した失敗談【元警察官】
準備③ 引き止めへの心の準備をする
警察を辞めると伝えると、ほぼ確実に引き止めがあります。
事前に「何を言われるか」「どう返すか」を整理しておくと、動じにくくなります。
具体的な対処法は第4章で詳しく書きます。
第2章:警察官の退職届——書き方と提出先
民間企業の「退職届」と、警察の「辞表(依願退職届)」は別物です。
書き方・提出先・タイミング、全部異なります。
警察の退職届(依願退職届)の基本
| 正式名称 | 依願退職届(都道府県によって呼称が異なる場合あり) |
| 書式 | 所属する警察署・本部の書式に従う |
| 提出先 | 直属の上司(署長・課長など)→ 人事課へ回付 |
| 提出時期の目安 | 退職希望日の2〜3ヶ月前 |
| 退職日の決め方 | 原則として年度末(3月末)が多いが、それ以外も可能 |
記載する主な内容
依願退職届に書く内容は概ね以下の通りです。
書式は所属先でもらえます。
・退職を申し出る日付
・所属・階級・氏名
・退職希望日(「○年○月○日付で退職いたしたく」)
・退職理由(「一身上の都合により」で問題なし)
・宛名(都道府県公安委員会宛が一般的)
退職理由は「一身上の都合」で十分です。
詳しく書く義務はありません。面談で聞かれた場合も「一身上の都合です」で通せます。
民間と大きく異なる点:「認める・認めない」問題
警察では「辞表は認めない」と言う上司が存在します。
ただしこれは法律的に無効です。
地方公務員法・労働基準法において、退職は労働者の権利として認められています。
上司個人に「認める・認めない」の権限はありません。
もし強硬に拒否された場合は、直属の上司を飛ばして人事課へ直接提出することも可能です。
第3章:「辞めると言い出せない」——私が2ヶ月悩んだ理由と乗り越え方
退職の手続き自体は、やることがわかれば難しくありません。
一番の壁は「言い出すこと」です。
私は退職を決意してから、実際に上司に伝えるまで2ヶ月かかりました。
言い出せなかった理由①:警察学校で言われた言葉
今でも鮮明に覚えている教官の言葉があります。

現場に出たら辞めるなよ。辞めるなら今やめろ。現場で迷惑かけるな。
冗談半分だったかもしれません。でも私には足かせになりました。
「現場に出てから辞める人間になってしまう」という罪悪感が、言い出すことを阻んでいました。
言い出せなかった理由②:お世話になった人への申し訳なさ
組織への不満はあっても、よくしてくれた先輩や上司への感謝もある。
その人たちを裏切るような気持ちになって、踏み出せませんでした。
お世話になった人への恩返しの方法は「辞めないこと」だけではないはずです。
辞めた後も、その人たちへの感謝を持ち続けること、自分の新しい場所で誠実に生きること——
それも十分な恩返しだと、今は思っています。
言い出せなかった理由③:「辞めると言ったら何をされるか」という恐怖
正直に言います。怖かったです。
怒鳴られるかもしれない。冷たくされるかもしれない。引き止められるかもしれない。
でも実際に伝えてみると、恐れていたほど最悪な状況にはなりませんでした。
「言う前」が一番つらい。言ってしまえば、動き始めます。
2ヶ月悩んだ末に、私が実際にやったこと
内定を取ってから伝えました。これだけです。
転職先が決まった状態で「辞めます」と言うと、気持ちが固まっているので引き止めに動じにくくなります。
「次が決まっているので」という一言が、交渉を非常に楽にしてくれました。
「まだ転職先が決まっていない」という人は、まずエージェントに相談してみてください。
相談するだけで、自分の市場価値と選択肢が見えてきます。
第4章:引き止めにあったとき——私の実体験と対処法
退職を伝えたとき、引き止めがありました。
具体的な内容はぼかしますが、正直に書きます。
「もう少し続けてみろ」「今辞めたら後悔する」という言葉は想定していました。
でもそれ以上に、こちらの判断を「間違い」と断定するような言い方をされたことが、一番しんどかった。
「自分の判断は本当に間違っているのか」と一瞬揺らぎました。
でも転職先が決まっていたので、最終的には「次が決まっています」という一言で押し切れました。
引き止めパターンと返し方
警察でよくある引き止めパターンと、実際に使える返し方をまとめます。
| 引き止めの言葉 | 返し方 |
|---|---|
| 「辞表は認めない」 | 「法律上、退職は私の権利です。人事課へ直接提出させていただきます」 |
| 「もう少し続けてみろ」 | 「すでに決断しております。ご迷惑をおかけして申し訳ありません」 |
| 「民間では通用しない」 | 「転職先はすでに決まっております」 |
| 「今辞めたら後悔する」 | 「それは私自身が責任を持って判断します」 |
| 「恩知らずだ」 | 沈黙。返す必要なし。感情的な発言には乗らない。 |
共通する原則は1つです。議論しないこと。
引き止めに対して理由を説明しようとすると、そこに付け込まれます。
「決断しました」「申し訳ありません」を繰り返すだけで十分です。
それでも「認めない」と言われたら
直属の上司が強硬に拒否した場合の対応手順はこうなります。
まず上司の上司(署長・課長など)に直接相談します。
それでも動かない場合は、所属する警察本部の人事課へ直接連絡します。
人事課は退職手続きの窓口であり、個々の上司の判断より上位にあります。
最終的には内容証明郵便で退職届を送ることも法律上可能です。
ここまで必要になるケースは稀ですが、知っておくだけで精神的に楽になります。
第5章:退職を伝えてから退職日当日までのスケジュール
退職が受理されてから退職日まで、やることを整理します。
退職までの全体スケジュール
| 時期 | やること | ポイント |
|---|---|---|
| 退職の意思を伝える | 直属の上司に口頭で伝える | 内定取得後が理想。退職希望日の2〜3ヶ月前 |
| 依願退職届を提出 | 所定の書式で提出 | 「一身上の都合」で十分 |
| 退職が受理される | 人事課で正式に受理 | 受理されたら退職日が確定 |
| 引き継ぎ | 担当業務・事件の引き継ぎ | 丁寧にやる。後腐れなく辞めるための投資 |
| 貸与品の返却準備 | 制服・警察手帳・装備品など | 紛失があると退職手続きが遅れる |
| 退職日当日 | 貸与品返却・挨拶・書類受け取り | 離職票・退職証明書を必ず受け取る |
退職日当日に受け取るべき書類
退職日当日、必ず受け取ってください。後から請求すると時間がかかります。
□ 離職票(失業給付の手続きに必要)
□ 退職証明書(転職先から求められる場合あり)
□ 源泉徴収票(確定申告・年末調整に必要)
□ 年金手帳(自分で保管していない場合)
□ 雇用保険被保険者証
退職後にやること(最初の1週間)
退職後は手続きが続きます。早めに動いてください。
健康保険の切り替え(退職後14日以内)
任意継続か国民健康保険への加入か、転職先の健康保険への加入か、状況に応じて選択します。
年金の切り替え(退職後14日以内)
共済年金から国民年金への切り替え手続きを市区町村で行います。
失業給付の手続き(ハローワーク)
転職先が決まっている場合は不要ですが、決まっていない場合は早めに手続きを。
第6章:警察を辞めて「よかった」と思える退職にするために
手続き的な話だけでなく、最後に気持ちの話をします。
引き継ぎは丁寧にやる
パワハラが嫌で辞める場合でも、引き継ぎは丁寧にやることを勧めます。
理由は相手のためではなく、自分のためです。
雑な引き継ぎで辞めると、後味が悪い。
「あの人はいなくなってよかった」と言われたまま終わる。
丁寧に引き継いで辞めると、胸を張って次のステージに進めます。
警察官として過ごした時間への敬意を、最後の引き継ぎで示してください。
「辞めると決めたら迷わない」ことが大事
退職を伝えてから退職日までの期間は、精神的にきついです。
冷たくされる日もあるかもしれない。嫌味を言われる日もあるかもしれない。
でもその期間は有限です。退職日が来れば終わります。
・「あと〇日」と毎日カウントする
・転職先のことを考える時間を意識的に作る
・引き継ぎに集中して「今できること」だけをやる
決めたなら、前だけ見てください。
まとめ:警察官の辞め方、全ステップ
退職を言い出す前の準備(3つ)
① 転職先を決めてから辞める(在職中に転職活動)
② 退職タイミングを逆算してボーナスを確保する
③ 引き止めへの心の準備をしておく
退職届の基本
・正式名称は「依願退職届」
・退職理由は「一身上の都合」で十分
・「認めない」は法律上無効。人事課へ直接提出も可能
引き止めへの対処
・議論しない。「決断しました」を繰り返すだけ
・内定が出ていれば「次が決まっています」の一言が最強
退職日当日
・離職票・退職証明書・源泉徴収票を必ず受け取る
・引き継ぎは丁寧に。自分のために。
「辞め方がわからない」という不安は、手順を知れば解消できます。
一番難しいのは手続きではなく、「最初の一歩を踏み出すこと」です。
転職先が決まっていない状態で悩んでいるなら、まずエージェントに話を聞いてもらうだけでいい。
「相談=転職確定」ではありません。自分の選択肢を知るための第一歩です。
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